将棋の館−盤上のドラマ−/平成最強者列伝/”冬の時代”を越えて・・・
まるきり順風満帆に見える羽生の棋士人生。しかし、ほんの1時期つらい時代があった。 第2期竜王戦で島を降し、19歳で竜王位を獲得した羽生だが、翌年挑戦者に谷川を迎えての 防衛戦は1−4で敗退。無冠となった。 しかし年明けの棋王戦で挑戦者となり、○○●の展開で南棋王を追いつめた。 第1図からの手順 ▲44角△41銀▲42銀△44銀▲41銀不成△31金▲42銀△41金▲同銀不成 △31銀▲43金 第1図では△55角の王手飛車が残っており、▲76飛成や▲53歩成ぐらいの手では△55角 と打たれていけない。 また▲43銀も△41銀で詰めろが続かない。羽生、困ったかと思ったところへ飛び出した▲44 角の大技。 △同銀では▲34桂△同金▲31銀△同玉▲42金以下詰み。また△34同金で△33玉も▲42 飛成△34玉▲43銀△45玉▲46金まで。 かといって放置しても▲31銀△同玉▲42金で、△同銀は▲同飛成△同玉▲53歩成△31玉 ▲42銀まで。また△42同銀で△22玉は▲32金△12玉▲33金まで。 指せると思っていた局面で、意表の一手を食らい、南は相当のショックを受けたようだ。この時の 心理状態が後の指し手に大きな影響を及ぼす。何故なら▲43金は悪手だったのだが・・・怪物、デビューす▲羽生△南 第2図からの手順 △33金▲32銀成△23玉▲33成銀△同桂▲34金△同玉▲44金△同玉▲36桂まで、 羽生勝ち △33金で△55角なら先手容易でなかった。▲77歩△28角成▲32銀成△12玉▲31成銀△22金 先手の28飛車がいなくなったため、後手玉は詰めろになっていない。局後の感想では、先手の勝 筋は発見されなかったという。 しかし羽生はこの変化に気づいていなかった。したがって態度にも現れず、▲44角のショックが 尾を引いていた南にも、この変化はわからなかったようだ。 竜王位は失ったが、同年度内に棋王位を奪取。棋王戦12連覇の始まりであり、これ以降、羽生は 無冠になることなく現在に至っている。