将棋の館−盤上のドラマ−/名局列伝/2大巨匠、最後の名人戦対決!
昭和46年の第30期名人戦で、挑戦者の名乗りを上げたのは”宿命のライバル”升田幸三。当時大山48歳、升田53歳。 二人の年齢からして、これが最後の7番勝負であろうと言われていた。 その7番勝負で升田が見せたものは・・・”素人戦法”とプロからは全く顧みられなかった”石田流”に、新しい息吹を与えた。 −升田式石田流−の誕生である。 先手番の第2局、升田式石田流で勝利を収めた升田は、続く第3局後手番でありながらも升田式石田流を採用。 上図は46の銀取りが、忙しいようだが・・・ △35銀▲同角△34金▲57角△24金▲36歩△25歩▲29飛△36飛・・・ 何とタダ捨ての△35銀!この1手で完封寸前の包囲網が崩れ去る!是非もない▲同角に△34金。これを▲同金は△35角 ▲同金△59角の王手飛車。敵飛を押さえ込んでから、△36飛。まさに後手絶好調だが、この将棋、大山が粘りに粘って大将棋 になるのである。 指し手は進んで大山VS升田2図・・・図の▲55歩がうるさい手流れを変えた絶妙手! 第37期名人戦7番勝負第4局 中原VS米長大山VS升田2図 △68銀成▲同金△55馬直▲56香△21歩▲72飛成△同金▲55香△59飛▲69銀→大山VS升田3図 この将棋、△35銀ばかりが有名になって、あまり知られていないようだが、大山の粘りがすさまじい。▲72飛成と切って ▲55香と出たあたりでは逆転模様か・・・ しかし・・・△59飛に対する▲69銀が最後の敗着。
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大山VS升田3図 △57金▲79銀△55馬▲56歩△69飛成▲74桂△92玉▲69金△77桂成▲同桂△同馬▲同玉△85桂まで升田勝ち 総手数210手。 ”鬼手”35銀を誰が発見できようか! そして、その35銀を食らって誰がここまで持ちこたえられようか!まさに”最後の名人戦”にふさわしい名局だった。 このシリーズを4−3で防衛した大山だが、”新しい力”はすぐ後ろに迫っていた。翌年”将棋界の太陽”中原誠の前に、つい に通算18期守り抜いた名人位を明け渡すのである。