将棋の館−盤上のドラマ−/名局列伝/流れを変えた絶妙手!
昭和54年の第37期名人戦は、充実著しい挑戦者の米長が出だし2連勝!出だし2連敗しながら、名人位を防衛した のは過去に1度しかなく、中原苦戦が囁かれた。 第3局、米長の雀刺しからの猛攻を執念でかわし、ようやく1勝。 しかしこの第4局も苦戦。米長、名人位に王手か!そう思われたとき・・・ 中原VS米長1図以下 ▲57銀△同馬▲54角△31玉▲33桂成△同銀▲62金△48飛成→中原VS米長2図 ”取って下さい!”と▲57銀!これぞ名人戦史上に永遠に語り継がれるであろう絶妙手!後手はこの銀は取りたくな い。後手の狙いは△67馬の利きを生かつつ△48飛成。しかし自ら△67馬の前に首を差し出した▲57銀は、この両 方の狙いを消している! 結局後手は取るしかない。そしてこの時米長は、全てを悟ったのだ・・・二大巨匠、最後の名人戦対決! 第30期名人戦7番勝負第3局 大山VS升田中原VS米長2図 中原VS米長2図以下 ▲58桂△32銀▲51飛△41桂▲32角成△同玉▲43銀△21玉▲41飛成△12玉▲24桂まで、中原勝ち ▲58桂が用意周到な合駒。ここに至る間の手順で、▲33歩△同桂を利かしておいたのは、桂馬を手に入れるため だったのだ。 局後米長は、▲57銀に対してたった一言”いい手でしたね。” ギリギリまで中原を追いつめながら敗れた男の、短いが、しかしこれ以上この手の本質を言い現した言葉はないだろう。 この1局のみならず、シリーズの流れを変えた絶妙手で、中原は4−2で名人位を死守した。