現在活躍中の棋士達を見ていると、やはり幼いうちから将棋を始めた人が多いようですね。
しかし、森・藤井・斎田といった人達は、晩学ですね。
−以下の話しは、森さんが本に書いた話を、お届します。−
森さんが将棋をやり始めたのは16歳のとき。何気なく近所の将棋クラブに入った彼は、初段
のおじいさんに2枚落ちで教えてもらった。
しかし何度やっても惨敗。あんまりこっぴどく負かされるので、カッとなった。この瞬間、彼
の運命は決まったのだ。
ひたすら指して指して指しまくった。三ヶ月で初段。四ヶ月で二段。五ヶ月目には三段以上で、
その道場で一番強くなっていた。
五段ぐらいになったとき、クラブに一人の若者がやってきた。強いというので手合わせしてみ
たら、この男の強さはケタ違いだった。平手で負け、香落ちで負け、角落ちでも負かされた。
月に一度くらい、フラっとやってくるわけだが、もっとこの男とたくさん指せないものか。
調べてみると、奨励会員とのこと。−道理で強いわけだ。
じゃあ、奨励会ってとこに入れば、この男と指せるのか、よし!
というわけで、森さんは奨励会に入会したわけです。
私は何事にも一芸に秀でるには、やはり早い時期から始めた方がいいという考えを否定はしな
い。
しかし、人間が本当に自分の進むべき道に気づくには、回り道をすることもあると思う。
その時に、”もう遅すぎる”ではやりきれないものがある。
彼らの活躍は、”何かを始めるのに遅すぎるということはない”ということを教えてくれている。