三月といえば、順位戦最終日。私が若かった頃、順位戦でもっとも気になる棋士といえば、大
山十五世名人だった。
昭和59年、大山はガンの宣告を受け、順位戦は1年間休場。翌年順位戦に復帰すると、6勝
4敗でプレーオフ進出。
相手は米長。若さ・勢い・充実ぶり、誰が見ても米長ノリだった。
この日、東京は夜から大雪になった。敗れた米長は、家に帰る気にもなれず、ホテルのバーで、
一人、飲み明かしたと聞く・・・
さしもの大名人も、平成になってからは、何度かピンチを迎えた。
平成元年度の最終戦、対桐山戦は負けたほうがB級に落ちる、深刻な1戦だった。この日の将
棋会館の”解説”は超満員だったとか・・・
そして”大山勝ち”の瞬間、多くの人が席を立ってしまったとか・・・中には、涙ぐむ人もい
たと聞く・・・
翌2年度は、スタートから5連敗。しかし、その後4連勝!執念のA級残留。
翌3年度、−大山、最後の順位戦−、大山にとって最後の目標”70歳A級”を賭けた戦い
だった。
12月、ガンの手術。しかし、復帰後高橋・米長・谷川を降しプレーオフへ・・・
最終戦の対谷川戦、全盛期を思わせるような”大山流の金打ち”で、谷川に快勝。
のちに谷川に”大山先生の置き土産をいただいた”と言わせる、金打ちだった。
プレーオフの高橋戦は、敗れるものの、詰め上がりまで指す執念を見せた。
これが最後の順位戦であることを、知っていたかのように・・・
3月4日、A級順位戦最終日。今年はどんなドラマが待ちうけているのだろう?
(注 ”勝てば挑戦者”の谷川が”負ければ降級”の島に敗れ、森内とのプレーオフへ。
羽生に敗れた井上が降級。中原永世十段は辛うじて残留。)